2026.4.20
自立という価値観「米農家」長田竜太

長田竜太

「おさだ農場」代表。

石川県小松市で5代続く専業農家、長田竜太さん。
ご縁あって20年以上前からイマココ・ストアのオリジナル米「元氣米」を作ってくださっています。
無農薬栽培、農協を通さず消費者に直接販売という手法を先駆的に35年前から行ってきた長田さん。
35年前から価格は一切変わってません。コメ作りの匠として、またお米の機能性の追求、食育、社会活動も勢力的に行ってこられた「米博士」でもあります。

ホーリー: 今日は、長年プロ・アクティブ(イマココ・ストア)向けにオリジナルで作っていただいている「元気米」というお米作りについて、詳しくお伺いしたいと思います。まずは長田さん、自己紹介からお願いしてもよろしいでしょうか?

長田: はい。石川県小松市というところで、現在だいたい5.6ヘクタールほどの田んぼを作っております。主に有機栽培をしておりまして、今年で36年目になりますね。早いもので36年間ずっとやってきて、今は直売も含めた形での経営をしております。

ホーリー: 代々の米農家さんとのことですが、有機栽培へ方向転換され、農薬を使わなくなったきっかけは何だったのでしょうか?

長田: 私は五代目で、代々農家をやってきました。私の父の時代はまさに増産の時代でした。戦後からスタートしたお米の増産時代で、化学肥料や農薬を使う作り方が主流だったんです。でも、私は農薬を使うことに対して、将来的にあまり良くないだろうと感じていました。

そこから大転換をしたわけですが、最初は収入も減りますし、有機肥料はコストも高く手間もかかります。特に最初の段階は収量が落ちます。土ができていないからです。土を作るまでに約10年ぐらいはかかりますね。突然化学肥料から有機肥料に変えても、すぐに良いお米ができるかというと、自然は人間の理屈通りにはいきません。

年月をかけて土を作りながら有機肥料に馴染ませていく。この36年間はその積み重ねです。最初は稲の力も弱くて病気にかかったりもしましたが、殺菌剤や殺虫剤を使わずにやっていくと、10年を超えたあたりから稲自体に体力がついてきます。今では農薬を全く使わなくても、何ら問題はありません。

豊かな水と大地に恵まれた加賀平野での米作り

ホーリー: ここ石川県小松市という土地の特徴は何かありますか?

長田: 皆さんご存知の通り、ここは加賀百万石、前田家の城下町でした。百万石の米が取れる広大な農地があり、霊峰白山からの雪解け水が非常に豊富です。そして加賀平野という広大な大地がある。小松市は雪も降りますし、夏はしっかり気温も上がるので、米作りに非常に適した気候です。北陸三県、新潟を含めて、やはり米どころと言われる場所ですね。

ホーリー: この土地での米作りは、1年に1回しかできないですよね。人生を通しても50回ほどしかできないという、他の商品とは違う難しさがあると思います。

長田: おっしゃる通りです。私は36年米を作っていますが、「36回しか作っていない」とも言えます。毎年条件が変わりますし、特にここ10年ぐらいは気候が劇的に変わってきました。毎年同じことをやっていても微妙な違いが出ます。

非常に怖いのは、四季がなくなってきていることです。春と秋が短く、4月後半から夏のような暑さが来ますし、秋も通常なら涼しくなる時期に真夏日が続いたりします。四季がなくなる中で、米作りがいかに難しいか痛切に感じています。

ホーリー: 温度や水など、さまざまな変化に対して、長田さんは田んぼや稲にどのようなアプローチをされているのでしょうか?

長田: 特に重要なのは、植える時期ですね。今の農家さんは兼業が多いので、ゴールデンウィークに田植えをする方が多いです。しかしその時期に植えると、穂が出て芽が生える時期が、夏の酷暑のピークと重なってしまい、品質がものすごく悪くなるんです。

ですから、少し時期を後ろにずらす。例えば2週間ずらすことができれば、一番夏のピークのダメージを避けることができます。今の農業は人の都合に合わせてやることが多いですが、自然は人の都合で動いていません。こちらが自然に合わせて米作りをしていかないと難しいと思います。

お水が引き出す、種籾(たねもみ)の生命力

ホーリー: 「元気米」についてですが、芽出しの時に「ゆの里」の「金水」を使ってくださっています。それにはどのような意味があるのでしょうか?

長田: 芽を出す時に、通常は普通の水を使うところを、送っていただいた「金水」にまず浸けて発芽させるということをやっています。

そうすると、芽の揃いが良いんです。芽がバラバラに出るのではなく、一斉に出そろってくれるのは我々にとって非常にありがたいことです。通常は早く出るもの、遅く出るもの、出ないものがあったりして温度調整が難しいのですが、このお水に浸けるとだいたい揃って出ます。

発芽する時、種はものすごくエネルギーを使います。その時の水の影響力は相当あるのだろうと感じています。水が生命力に働きかけているのでしょうね。

ホーリー: 種まきから収穫までの間で、一番大変なことは何ですか?

長田: やはり天候ですね。我々が何をしても太刀打ちできないくらい、自然というのは怖いです。2年前には大地震もありましたし、大雨で田んぼがギリギリまで水に浸かったこともあります。稲が一週間水に浸かると収穫できなくなってしまいます。極端な気象が続いており、今年がどんな天候になるかさっぱり分からないのが一番の苦労です。

肥料高騰に揺るがない、価値で売る米作り

ホーリー: お米の値段が上がっているニュースをよく見ますが、長田さんのお米は価格を据え置かれていますよね。大丈夫ですか?と心配になってしまいます。

長田: お客様からも「どうして値段を上げないんですか?」とよく言われます。スーパーのお米は倍近くの値段になっていますが、うちのお米はこの36年間、一切価格を変えていません。変える必要がないんです。

ニュースでは「肥料の値段や資材の値段が上がったから」と言われますが、彼らが使っているのはほぼ100%海外から原料を輸入している「化学肥料」なんです。農薬も資材もそうです。だから円安の影響を直接受けます。

一方、うちの肥料は国産の「有機肥料」なので、為替の影響をほぼ受けません。もう一つの大きなコストは農機具です。何千万円もする機械を買う農家さんもいますが、うちは何千万円もの投資はせず、ネットのオークションなどで中古の機械を安く買ったりして工夫しています。

普段からきちんと原価計算をし、適正利益を乗せているので、今の値段で十分やっていけます。周りが値上げしたから上げる、という発想ではなく、お米は「価値」で売るべきだと思っています。

日本人の体と米食文化の深い繋がり

ホーリー: 長田さんはお米の知識が本当に豊富ですよね。日本人の主食であるお米の特性について教えていただけますか?

長田: 日本人は西洋人に比べて、腸の長さが約1.5倍長いと言われています。それは、お米を「粒」で食べてきたからです。小麦は「粉」で食べるので消化が早く、腸は短くて済みますが、日本人は粒で食べるので、ゆっくり消化するため腸が長いのです。「腹持ちが良い」というのはそういうことです。

腸が長い日本人が、消化の早い小麦を中心に食べるようになると、腸が使われなくなり、そこから病気が始まると指摘する先生もいます。粒で食べる文化と粉で食べる文化は全く違うのです。

ホーリー: お米は一粒からどれくらい増えるのか、以前教えていただきましたよね。

長田: だいたい一粒の種籾から、お米は500粒ほど取れます。多収性の品種なら1000粒取れるものもあります。増え方が全く違うんです。

また、麦は畑で作るので、毎年同じ場所で作ると連作障害が起きますが、お米は毎年同じ田んぼで作っても連作障害が起きません。それは「水を張る」からです。水を張って還元作用を起こし、水を抜いて酸化させる。この酸化還元を行うことで連作障害を防げるので、毎年休ませる必要がないのです。日本に水田が広がったのは、先人の素晴らしい知恵ですね。

白米と玄米、そして自然の恵みをいただくこと

ホーリー: 昔からお米を食べてきた私たちが、実はもったいない食べ方をしていると伺いましたが。

長田: 私たちは普段、白米を食べていますが、白米を食べるようになったのはごくごく最近、昭和30年代から40年代に精米機が普及してからのことです。それまでは玄米や五分搗きなどを食べていました。

白米が普及した時期に脚気(かっけ)が増えたのは有名な話で、ビタミン不足が原因です。お米のビタミンは糠(ぬか)の部分に一番含まれているのに、その糠を捨てるようになってしまった。玄米や分搗き米を食べれば、天然のマルチビタミンのような栄養が摂れるのに、現代はあまりにも精製されすぎたものを食べているため、いろいろな病気が出てきているのだと思います。

ホーリー: 漢字にもその意味が表れているとおっしゃっていましたね。

長田: ええ。米偏に「白」と書くと「粕(かす)」になります。一方、米偏に「康」と書くと「糠(ぬか)」になります。昔の人はきちんと分かっていたんですね。

また「日常茶飯事」という言葉があるように、日頃からご飯とお茶を摂りなさいということです。ご飯から栄養を摂り、お茶からカテキンなどを摂る。この二つを摂っていれば健康でいられると、先人たちが言葉の中にキーワードを残してくれているんです。

ホーリー: 最後に、長田さんの農業への思いや、これからの食についてお聞かせください。

長田: 農業において一番大事なのは「自立」することだと思っています。国に依存するのではなく、自分で適正な価格を決め、需要を作っていく。日本の食料安全保障を考える上でも、農家自身が自立心を持つことが最も重要です。

小松市は生活するにも、お米を作るにも非常にバランスの取れた、ちょうどいいところです。これからも自立した農家として、この土地で価値のあるお米を作っていきたいですね。

ホーリー: 今日は本当に貴重なお話をありがとうございました!

長田: こちらこそ、ありがとうございました。


★元氣米 https://www.ima-coco.jp/view/category/ct104

★イマココ・ストア https://www.ima-coco.jp/

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