2024.12.19
みんなと仲良くなれる

大西 奈津子

アフリカンダンサー

西アフリカの、マリ共和国、ギニア、のダンスに出逢い、その魅力に取り憑かれて早18年。東アフリカのケニアにて、子育ても経験し、さらにアフリカの奥深さを知る。
アフリカンダンスを通じて、心身を解放すること、人生を喜び合う場を共有することを目的に活動中

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――今日は今年私をケニアに連れて行ってくれた、大西奈津子さんにお話をうかがいます。この前、私は思わず「全人類の妹♪」というニックネームをつけてしまった(笑)ほど、みんなに愛されている大西奈津子さん。普段「なっちゃん」と呼ばせていただいているので、今日も「なっちゃん」と呼ばせてもらいますね。
それでは、まずは自己紹介からお願いします。

大西奈津子と言います。

今、岡山県を拠点にして、アフリカンダンスを通じて年齢も性別もいろんなものを超えて、みんながその場を楽しめる場を作っています。

【アフリカンダンスとの出会い】

――そのアフリカのダンスに出会ったきっかけは?


私がアフリカのダンスに出会ったのがもう15年以上前になるんですけども。
アフリカに憧れて旅に出たことがあるんですよ。で、そこでたまたまニジェール川のフェスティバルがあって、マリ共和国に行ったんですけど、そこでアフリカンダンスを見たんですねえ。
25とか6歳の頃だったのかな。

――ひとり旅でアフリカに?怖くなかったですか?

いや、怖かったですよ。当時はスマホとかもないんで。『アフリカノート50何カ国』っていう雑誌のマリ共和国のところ、3ページぐらいをピリッと破って,それを持って行ったんですけど。そこでアフリカンダンスに出会いました。

――その頃、なぜアフリカに憧れてたの?どんなところに惹かれてた?

私も分かんないんですけど。なんか写真とか絵とかで、大地の上アフリカの布を纏った女性が頭の上に荷物を乗せて生活している図か写真を見て、「ここに行ってみたい!」と思ったんですよ。


――実際に一人旅で行って、そのニジェール川でアフリカのダンスを見て・・・。こころ打たれたわけですか?

そうですね、アフリカ自体にも打たれたんですけど、そのダンスに。太鼓の音に合わせて、裸足で全身を使って踊る踊りなんですけど、躍動感があって!
私、日本でいろんなダンスを今まで見たことあったんですけど。ヒップホップとかね、かっこいいやつ。でも、なんか恥ずかしくて自分が踊ろうと思ったことはないんですよ。
だから、小学校のソーラン節以来のダンス!(笑)
そう!25.6歳になって初めてアフリカのダンスやってみたいと思って。
で日本に帰ってから探しだしてきた。


――日本にアフリカンダンスを教えてるところはあったんですか?

ありましたね。その時、長野にいたんですけど、長野では教室がなくて、関東でされてる人がいたので、東京まで習いに行きました。

――アフリカのダンスを習うところから始まって今はもう教える立場だということなんですが、でもその間10何年の年月があるじゃないですか?その間になにかもっと強くアフリカと結びつくような出来事があった?

【結婚★子育てin ケニア】

20代でアフリカンダンスに出会って、そこからずっとやってたわけじゃないんですけど、濃くどっぷりやってた数年間があって。
その時にケニアから来た早川千晶さんと大西まさやさんと、その時沖縄に住んでいるあの近藤ひろみさんの三人の方がツアーをやってて、そこでケニアに出会ったんです。


私がやってたダンスは西アフリカのあのギニアとかマリの音楽だったので、東アフリカの文化とか、音楽は全然ご縁がなかったんですけど、そこで早川さんと大西まさやさんとご縁ができて・・・。


で、まさやさんと結婚して、ケニアに3年間住むことになったわけです。

――では新婚生活はケニアでスタート?

そうですね、ケニアに行った時はまだ結婚してなかったんですけど、すぐにケニアに行くことになり、すぐに子供を授かり、そして結婚したんですけども。


――お子さんはケニア生まれ?

日本に出産しに帰ってたんですけど。2ヶ月の時にまたケニアに戻って。2歳になるまでケニアで。

――赤ちゃんの子育てをケニアでされてたってことですが、ケニアでの子育てはどんな風に?


住んでたのはケニアの、ナイロビなんですけど。ナイロビの端っこの郊外のお家を借りて住んでいたので、一応水道もあって、電気もつく場所ではあったんですけど。
そこの地域が水があんまり出ない地域で、水道は蛇口を常に開けておいて、出る時になったら、水汲みをして水甕に溜めて。で、子供のお風呂はたらいにお水を張ってお風呂に入れて、その水で洗濯をしてっていう感じで。
まあなんかちょっと、昔の日本みたいな感じなんです。

――それって、辛くはなかった?

辛くはなかったですね。全然。

――そういう一見不便な生活に免疫はあったんですか?


免疫はあったのかもしれないですね。
20代は結構、自給自足が自分にできる地球貢献かなと思っていた時期があって。で、そういう生活をされている方のところに今でいうWWOOFみたいな形で居候させてもらって、仕事手伝うみたいなことを転々とさせていただいてた時があったので。
結構、そういう原始的なものに憧れがあったんですね、きっと。

※WWOOF World Wide Opportunities on Organic Farmsの頭文字からきており、 農場で無給で働き、「労働力」を提供する代わりに「食事・宿泊場所」「知識・経験」を提供してもらうボランティアシステム

――ナイロビの郊外での子育て暮らしを2ヶ月から2歳まで。おむつとかは?

布おむつを持って行ってて。毎日洗って。まあお出かけの時は紙オムツを購入して使ってたんですけど。

――言葉はできてたんですか?

言葉はスワヒリ語。夫が英語ではなくてスワヒリ語を話すので。なのでスワヒリ語を覚えて、まあ挨拶とか買い物ぐらいはできるぐらいですけど。スワヒリ語で生活していました。

Screenshot

【自分の存在の小ささを知る】

――ケニアでの子育てで大変なことはなかった?

子育てに関して言うと、すごく良くて
ケニアって、子供がいっぱいいるんですよ。なのでみんな小さい子に慣れてて、みんな子供が大好きなんですよ。
日本にいるとちょっと・・・うるさくしちゃいけないとか、迷惑かけちゃいけないっていう気を使うんですけど。
ケニアにいると逆にそれがなくて、みんなどんどん抱っこして、どっか行っちゃうっていう感じで。その面ではすごく楽ではあったんですけど。


ケニアでは周りの方が結構、生活に困ってる方が多いので、そういう面では、頼られる場面が多くて。本当にそういう状況が・・・、何て言うかな。格差があるじゃないですか。
それでも助けてくれる場面とか本当に多々あるんです。


なんかね。そういう状況を目の当たりにして、本当に自分の存在の小ささっていうかね、世界に対して貢献できない自分っていうのをすごい子育て中に感じてましたね。

【日本に帰っておもうこと】


――そのケニアでの新婚育児生活を終えて日本に帰ってきて日本はどうでした?帰ってきて、ケニアと比べて。

そうですね、やっぱり豊かだなとすごく思います。本当に。
日本に帰ってきて、その時岡山を選んだんですけども。
住んでる地域が、自然の豊かさっていうのがすごくあると思いますね。なんかこう、食べれるものが生えてるとか。(笑)

水も綺麗だし。
周りの人たちがみんな豊かだから、余った野菜頂いたりとか、そういう面でもそうだし。物が溢れてるっていうことでね、お下がりとかもらったりとか。(笑)
本当にいろんな面で。経済的に、もう比べ物にならないくらい豊かだなっていうことはありますね。

【許すということ】


――でも逆に、なっちゃんがケニアとかアフリカに惹かれている物が日本になかったりとか。日本の人にケニアの伝えたい何かっていうのはあるんでしょうか?

どうなんでしょう、あの・・・・う~ん。
「許す」っていうことですかね。


日本にいて、みんなが周りの目を気にしてたりとか、なんか失敗しちゃいけないだとか、そういう生きづらさ、というか。
みんな許されたいんじゃないかなっていう心はすごく感じますね。

――アフリカの人達は、許すことが上手?

そうですね、許し合わないと生きていけないような。
やっぱり自分一人では生きていけないっていうのが前提にすごくあると思うんですよ。


その中心に音楽があって、踊りもあると思うんですけど。

お祭りの場で、普段は色々あるけれど、そういうことを一旦置いといて、お祭りをやることでみんなが一つになって


自分、一人では生きて生きていけないけど、みんながいる中でお祭りをやって、許し合って、生きてるだけでいいじゃないかって思える場が、やっぱりお祭りだとか、音楽の力だと思うんです。
ご先祖様の力だったり、植物とか、見えない世界との繋がりがやっぱりあって。そういうものに宿ってるものの力だったりとか。


そういうものがあることって、やっぱり「信仰」っていう言葉だと思うんですけど。
なんかね~。そのどこかで「大丈夫」って思える力があるんじゃないかなっていうふうに思うんです。

れは私が日本にいる間は知らなかったっていうか。自分一人の力で生きていかなきゃいけないって思いが強かった。
努力しなきゃいけないとか、そういう不安っていうか、そういうものは今でもまだ自分の中にあるとは思うんですけど。


そういうのが、踊ってる間は、肩書とか、もう何の条件もなく、みんな一つで楽しめるっていうところで、すごくいい道具っていうか。いいものだなって思っています。

【アフリカンダンスのちから】

――なっちゃんのそういった体験がアフリカのダンスをしてると無条件に感じられる?思い出される感じなのかしら。

そうですね、私にとってその瞬間は、頭で考えたりしなくていいし。
音の振動が全部を繋げてくれるっていう感覚。その場所が、自分とその他の周りの世界との境目がなくなる瞬間っていうものがあったりするし。

――それはなっちゃんと同じように生徒さんも?生徒さんはどう感じているのでしょう?

踊り終わった後の顔がみんな、リラックスして。
踊りはね、できるとかできないとか関係なく終わった後に「あ~、楽しかった」って思ってもらえてると思ってるんですね。
音の力も大きいですけど、体を動かすと体の水が動くと思うんです。
体を動かすことから心も動くし、解放が起こってると思うんですよ

――ところで、なっちゃんがやってるアフリカンダンスの特徴ってどういうものでしょう?

特徴は、音に合わせるっていうことですね。
音に合わせてステップを踏んでいくんですけど。


数を数えたりとか、そういうことに頭を使わなくてよくて、とにかく音に意識を集中する。音の合図で動き始めて、音の合図で次の振り付け
振り付けは一応あるんですけど。

とにかく音に合わせる。
そしてダンスに合わせて太鼓が合わせてくれたりもする。
そういうところ。そういうコミュニケーションが特徴かもしれないです。

――どんな人に今教えてるんですか?

私がやってる時間帯が平日の昼間だっていうこともあって、私今40代なんですけど、割と年代が40代、50代、60代70代80代まで結構幅広くて。
またそれが日曜日だったら、もっとお子さん連れのお母さんだったりなんですけど。本当にもう年齢問わず、誰でも楽しんでいただける感じです。

――みんさん、なんておっしゃってます?

結構ダンスされてた方とかもいるんですけど、今までにない楽しさって言うか。はまるって言ってくださってます。

【これからの夢】


――これからもっとやりたいことはありますか?

そうですね、その踊るっていうこと。やっぱりみんなと踊るっていうシーンが一番好きでやっていて。
野望とか全然ないんですけど、ただ、そうですね。

場所ともすごく繋がれるものなので、いろんな場とご縁いただいてみたら、また、素敵だろうなって、今思いました。

――じゃ、「なっちゃん、ここで踊って」とかって言ってリクエストしたら、来て踊ってくれたりして?


はい、ぜひ♪
嬉しい!

――出張アフリカンダンス教室とか?

そうですね、たまに呼ばれると行かせていただくんですけど。是非。
なんかそういう、人との繋がりとかもご縁でね。呼んでいただいたり、場所もすごくご縁でね。この前は神社の裏で踊らしていただいたりとかして。そういうご縁もあるなと思って。

【みずのたま~ずっと大切にしてきたこと】

――なっちゃんにとってなくずっと変わりなく大切にしてきたことがあるとしたら、それは何でしょうね?

今、質問されて私が今思い浮かんでることは「人が好き」っていうことが変わらず、なんていうかな「人が好き」っていうのがあると思うんですよ。
小さい頃すごく人見知りだったんですよ。


すごく人見知りで。
新しい人がいるところとか行きたくないっていう。家が好きっていう感じだったんですけど。


なんかアフリカも、人が好きだし、ほーりーさんに好きって言っていただけるとと、私も好きだって思うんですよ。本当にね。


なんか人間が好きだなっていうことがあって。
で、結構どんな人も好きなんですよ(笑)


だからこそ、言葉も分からなかった、すごく自分にとって距離があるアフリカっていう土地の人と、そこで出会った人と仲良くなれたって思った瞬間はすごく嬉しかった。


どんな人とでも仲良くなれるんだっていうのはすごく自分にとって嬉しい体験だったと思うんですね。
だからこそ、いろんな考えの人と仲良くしたい。


喧嘩し合うっていうのは、仲良くできるんじゃないかなっていうのがあって。
そういうのって踊ってたら仲良くなれるじゃないですか。どんな人とも


なんか踊りって本当に来た人全員仲良くなれる。そういう部分では、私が好きなアフリカのダンスがやっぱりコミュニケーションが取れる。
目と目を合わせて踊ることができるので。
それが本当にみんなと仲良くなれるっていうことがね、すごく私には大事なんだなって思いました。

――わぁ、素晴らしい。だから私がつけたニックネームがばっちりじゃない。「全人類の妹」

本当に称号をいただいた気分。(笑)

――なっちゃん、私もアフリカンダンス、やってみたくなりました!今日はほんとうにありがとうございました。

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